皆さん、こんにちは。医療情報ライターの村上花音です。
「歯医者さんは怖い」─そんな声を周りで聞いたことはありませんか?
実は、日本人の約70%が歯科治療に何らかの不安や恐怖を感じているというデータがあります。この数字を目にしたとき、私は歯科医院の現場でコミュニケーションに携わるスタッフの皆さんの重要性を改めて実感しました。
私は以前、ITスタートアップでWebマーケティングを担当していました。そこで培ったコミュニケーション手法と、現在のヘルスケア領域での経験を組み合わせることで、患者さんの不安を和らげるためのヒントが見えてきました。
今回は、日々患者さんと向き合う歯科医院スタッフの皆さんに、実践的なカウンセリングのコツをお伝えしていきます。この記事を読むことで、患者さんとの信頼関係を築くためのノウハウを習得していただけるはずです。
目次
患者の不安を正しく理解する
医療現場での不安解消の第一歩は、まず患者さんの気持ちに寄り添うことから始まります。
「歯科=怖い」というイメージの形成要因
歯科治療に対する不安や恐怖は、実は私たちの身近なところから生まれています。
過去の治療経験は、特に大きな影響を与えます。例えば、子どもの頃に痛みを伴う治療を受けた記憶が、大人になった今でも不安の種となっているケースが少なくありません。
また、「歯医者さん=痛い」という社会的なイメージも、患者さんの不安を増幅させる一因となっています。特にSNSでの口コミや体験談が、このイメージを強化することもあるんです。
【不安形成の主な要因】
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│過去の治療経験 │
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↓
┌──────────────┐
│痛みへの恐怖 │
└───────┬──────┘
↓
┌──────────────┐
│知識不足による │
│誤解や先入観 │
└──────────────┘
不安が大きい患者がもたらす影響
患者さんの不安は、治療効果にも大きく影響します。
定期検診をためらう
→ 症状が悪化
→ 治療への不安がさらに増大
このような負のスパイラルが生まれやすいのです。
さらに、不安を抱えた患者さんとのコミュニケーションは、スタッフの皆さんにとってもストレスとなることがあります。例えば:
- 治療の説明に時間がかかる
- 質問が多く、診療スケジュールに影響が出る
- スタッフの声かけに対して緊張や警戒が解けない
このような状況は、患者さんとスタッフの双方にとって望ましくありません。だからこそ、効果的なカウンセリング手法を身につけることが重要なのです。
次のセクションでは、具体的なカウンセリングの基本ステップについてご紹介していきます。特に初回カウンセリングでの対応が、その後の治療をスムーズに進める鍵となります。
患者を安心させるカウンセリングの基本ステップ
ここからは、実践的なカウンセリングのテクニックについてお話ししていきましょう。
親しみやすい第一声とヒアリング術
最初の印象は、その後のコミュニケーションを大きく左右します。
まず大切なのは、患者さんの緊張をほぐす第一声です。「今日はどういったご症状でいらっしゃいましたか?」という質問から入るのではなく、「お待たせしてしまい、申し訳ありません」や「今日は足元の悪い中、ありがとうございます」といった、人と人との自然な会話から始めることをおすすめします。
ポイントを押さえたヒアリングのコツをまとめてみました:
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▼ ヒアリングの黄金ルール ▼
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1. 目線を合わせ、やさしい表情で
2. 相づちを打ちながら傾聴
3. 急かさず、ゆっくりと
4. 患者さんの言葉を拾って質問
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情報提供のタイミングと伝え方
治療説明は、患者さんの不安を和らげる重要な機会です。
専門用語を使う際は、必ず分かりやすい言葉で言い換えを行います。例えば:
専門用語 | 分かりやすい説明 | 使用例 |
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う蝕 | むし歯 | 「う蝕(むし歯)が見られます」 |
歯周病 | 歯ぐきの病気 | 「歯周病、つまり歯ぐきの病気の初期症状です」 |
根管治療 | 神経の治療 | 「根管治療、いわゆる神経の治療が必要です」 |
また、リスクを説明する際は、必ずその対処法もセットで伝えることが重要です。「でも、こうすれば大丈夫です」という安心材料を必ず用意しておきましょう。
ポジティブな言葉かけとフォローアップ
医療者と患者は「協力して治療を進めていくパートナー」という意識を持つことが大切です。
そのため、以下のような前向きな声かけを心がけましょう:
- 「一緒に頑張っていきましょう」
- 「少しずつ良くなっていきますよ」
- 「ご不安な点があれば、いつでもお話しください」
治療後のフォローも忘れずに。最近では、LINEやメールでの予約リマインドに加えて、治療後のお気遣いメッセージを送る医院も増えています。
このようなきめ細かいコミュニケーションが、患者さんの安心感につながっているのです。
デジタルツールを活用した「不安軽減」アプローチ
私のWebマーケティングの経験から、デジタルツールの活用が患者さんの不安軽減に大きな効果をもたらすことが分かっています。
事前情報発信とオンライン相談の活用
医院のWebサイトやSNSは、患者さんの不安を軽減する重要なツールとなります。例えば、初芝の矯正歯科について詳しく解説しているひきしょう歯科クリニックのように、治療内容や費用について分かりやすく情報発信することで、患者さんは来院前から安心感を得ることができます。
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│ 効果的な情報発信 │
└────────┬────────┘
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【基本情報】
・診療時間
・アクセス
・設備紹介
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【専門情報】
・治療の流れ
・費用目安
・よくある質問
↓
【安心情報】
・スタッフ紹介
・院内の雰囲気
・患者さんの声
特に、チャットボットやオンライン予約システムの導入は、24時間いつでも気軽に質問や予約ができる環境を整えることができます。
動画やビジュアル素材を使った具体的イメージ共有
💡 活用のポイント
治療手順を説明する短い動画や、実際の患者さんのインタビュー動画は、文字や写真以上に強い説得力を持ちます。例えば:
- 医院の内観外観を360度動画で紹介
- 治療器具の使い方をやさしく解説
- 実際の治療の様子を患者さんの同意を得て共有
- スタッフの日常業務や感染対策の様子を発信
ただし、動画制作にあたっては以下の点に注意が必要です:
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◆ 動画制作の注意点 ◆
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・患者さんのプライバシーに配慮
・専門用語を避けた分かりやすい説明
・明るく清潔感のある雰囲気作り
・適切な長さ(2-3分程度)を心がける
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まとめ
今回ご紹介したカウンセリングのコツは、すぐに実践できるものばかりです。
特に重要なポイントを振り返ってみましょう:
- 患者さんの不安に寄り添い、丁寧なコミュニケーションを心がける
- 専門用語は分かりやすく言い換え、視覚的な説明を活用する
- デジタルツールを効果的に使い、情報提供と双方向のコミュニケーションを実現する
そして何より大切なのは、スタッフ全員が同じ認識を持ってコミュニケーションに取り組むことです。
定期的なスタッフミーティングで接遇について話し合ったり、良かった対応事例を共有したりすることで、医院全体のコミュニケーション力を高めていくことができます。
皆さんの医院でも、これらのポイントを意識しながら、患者さんとの信頼関係づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。きっと、患者さんの笑顔が増えていくはずです。
最終更新日 2025年5月24日 by mippac